CSでやってた「ミステリー・ゾーン」第3シーズンが無事終わり、続く第4シーズンは1時間ものである。もともと、アメリカで中途で打ち切られた番組の穴埋めだったので、それまでの30分シリーズを無理矢理引き伸ばした印象が強く、チグハグだ、切れ味が鈍い等の否定的な評価が多いが、実は駄作もかなりある30分シリーズより、遥かに見ごたえのある作品が揃っている。「幻の谷間」なんて、プリントされた物体が実体化するシーンのワクワク感は今でも忘れていないし、SF的ラストの情感も見るたびに胸に迫る。戦後何十年もたってから死者が呼びに来る「海底の墳墓」と、SFのはずが実は、となる「幻の宇宙船」の怖さや、見当はついても、やはりガーンとくる「暗闇の男」の現代性などは、もっと言及されてもいい。
早逝したチャールズ・ボーモントの「淑女のための歌」は、私のもっとも好きな短編のひとつだが、「霧に消えた船」としてラインナップされている。原作には及ばなかったが、なかなか感動的な出来栄えであった。
ちなみに「ミステリー・ゾーン」は「幻」と付く作品に傑作が多く、前記「幻の谷間」「幻の宇宙船」の他にも、しみじみとするラストがいいタイム・コンデンストもの「幻の砂丘」と、どいつもこいつめSFだとぬかすが、実はホラー手法のファンタジー「幻の騎兵隊」等、ベスト級が勢揃いしている。
私は人間が小さいせいか限定空間を舞台にした話が隙で、バスの待合室を舞台にした解決なしのファンタジー「めぐりあい」や「人造人間の家」、乗り合いバスの乗客の一人がエイリアンらしい「火星人は誰だ」、軍人、踊り子、道化師ら五人が、ある部屋から脱出しようとあがく「奇妙な奈落」などが印象的である。
しかし、明らかに「ミステリー・ゾーン」から生まれた「世にも奇妙な物語」が、どれをとっても地獄のようにつまらないのはどういう訳だ?あ
ところで「ミステリー・ゾーン」の小説版「異形コレクション」の名前をこの頃聞かないが、どうなっておるのかな、井上雅彦大明神?