レ=ファニュの「カーミラ」をベースにした吸血鬼物語を思い付く。舞台は現代。雪深きみちのく、ネオン眩い東京、荒涼たる北の海と青い山々のかなたから、濃紫のドレスを纏った美少女と一台の馬車がやって来る。東欧からの旅人だと云う美少女の周囲では、日本一の財閥の当主が姿を消し、その息子は犬歯が見えぬように微笑む。
だが、美少女と踊った大臣は、やがて夜の町で人々を襲い、心臓に古風な杭をうちこまれる。そして、夜の街をあの馬車と、それに付き従う異形の影たちが疾駆するのだった。
美少女の怖れる杭鬼とは何か?
いつも首筋にスカーフを巻いた女性ルポライターと、アメリカから別人の様になって帰国した財閥の次男の役割は?
と、こんなことを考えております。